2012年07月16日
シトシトと
夏もなほ 心はつきぬあぢさゐの
よひらの露に 月もすみけり
藤原俊成 千五百番歌合
この歌は「古今集」にある次の歌を背景にしているそうです。
木の間より もりくる月の影みれば
心づくしの秋は来にけり
「夏もなほ心はつきぬ」は「心づくしの秋」を受け歌われております。
秋こそ趣深い季節と言う歌があるけれど、夏だって哀れを感じて心尽きる時があるものです。あじさいの四ひらの花に置いた露に、澄んだ月の光が宿っているのを見ていると…
と言った意味になります。
雨の音。香り。花々の潤いと美しさ。
夏には夏の、この季節にはこの季節だけの美しさがあります。人にも一人一人それぞれの良さがあるように。
どの季節もそれぞれの素晴らしさを大切に感じながら日々を過ごして行きたいものです。
灰色の厚い雲は東の空へと過ぎ去って行きましたが、まだ稲荷山上空はすっきりとせず、雨が音を立て境内を打ち付けております。
この雨で更に元気になるのは、境内の緑と昨日から輝きを増し始めたアジサイ達。
白のガクアジサイ。
成狐さんの御自宅前にて元気に咲き誇っております。
ようやく梅雨らしくなり、緑の葉も艶々です。
雨に濡れるアジサイは本当に綺麗で、見ているだけで時が過ぎていくのを忘れてしまいます。
雨を感じ、雨を楽しむ。
風情あるこの季節の雨。降り過ぎは困りますが、穏やかに降る雨であればいつまでも楽しんでいたいと思う7月です。
と、先日からアジサイばかりの稲荷日誌でございます。
2012-07-16 15:37:18 | 草花